美晴、恋に落ちる

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美晴、恋に落ちる

その人は真面目で大人しい印象だった。 名前を北山雅樹という。 天然なところもあって、たまに授業中にみんなを笑わせていたこともあった。 高校二年生の頃、クラスマッチが開催され、 クラスメイト達と円陣を組むことになった。 北山くんの肩と肩が触れ合い、 わたしの胸はどきりと音を立てた。 異性と話したことどころか、触れ合ったこともないのだ。当然の反応だろう。 「頑張るぞー!おー!」 そしてなぜか、クラスの人気者の大宮くんを真ん中に座らせ、かごめかごめをさせられた。 そして、その後 わたしは女子チームでバスケをした。 運動音痴なわたしは、バスケ経験者達が球をパスする ことを見ていることしか出来なかった。 チラリと男子チームを見ると 北山くんが楽しそうにバスケをしているのが見えた。 カッコいい。 北山くんはよく見れば整った顔立ちをしていて スタイルがいい。 その姿に見惚れていると 「美晴ってば北山くんの方ばかり見てない?」 休憩中に、里香が言った。 「えっ、そ、そんなことないよ」 「ふふふっ、動揺しちゃって」 ニヤリと笑う里香 「動揺なんて……」 「わかるよ、北山くんカッコいいもんね」 里香がうんうんと頷いた。 「そ、そんなんじゃないって」 わたしは苦笑いを浮かべたのだった。
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