北山くんとのデート

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北山くんとのデート

「お待たせ!安西さん!」 待ち合わせの場所に現れたのはラフな格好をした 北山くん。 「雅樹くん」 わたしは北山くんを下の名前で呼ぶ。 (LINEで下の名前で呼んでもいいかと聞いたら快くOKしてくれたのだ。) 「じゃあ行こうか」 本を選ぶ北山くんはとてもキラキラしているように 見えた。 本に対する愛が凄い。 北山くんは見かけた本の作者について 熱く語ってくれた。 本当に本が好きなんだなと分かる瞬間だった。 そして、わたしはそんな彼にますます惹かれていた。 北山くんが選んだのは小説で、わたしは 漫画を選んだ。 「安西さんの買った漫画、面白そうだね!」 北山くんが買い物袋を覗き込んだ。 「雅樹くんの小説も面白そう! 映画化されるやつでしょ?」 「そう、恋愛小説なんだけどね、主人公が一切恋愛に興味がないんだ」 その主人公が北山くんと重なった。 「だけど、主人公は初めて恋をするんだよ。僕も恋愛に興味は無いけどフィクションはなんかいいよね」 北山くん。 わたしはあなたに好きになってもらいたい。 だけど、その主人公のように、わたしのことを 好きになってくれるかな。 不安で胸がいっぱいになった。
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