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【こぼれ話①】自分にとっての外見とおしゃれ
自分の外見についてはひどく投げやりで、そうした意識が根底にあったこともあって、自分の身体の異変について「おかしい」と自覚するまでの時間が長かったのだろうと思います。
――化け物。
こどもの頃、アトピーで顔面に湿疹ができていた私はそう呼ばれていました。その流れから湿疹が直ってからも、ずっといろいろなことを言われ続けました。
化け物以外にもずいぶんひどいことを言われましたが、言われ過ぎてぜんぶはとてもではないけど覚えていません。
石・ガラス瓶・空き缶・鉛筆……いろいろなものが飛んできて、突き落とされそうになったことやストレスで失明しかけたこともありました。
幼稚園くらいの頃、偶然通りかかった保育園の門の内側から男の子が石を投げてきたこと、その時に一緒にいた祖母が即座に石を投げてきた男の子をにらみつけてひどく怒っていたこと、なんで怒るのかわからず「なんで怒るん?」と言った私を祖母が「こんなことされて当たり前やろ!!」とすごい勢いで𠮟りつけたことは今も覚えています。
その時の私は本気でなんで叱られたかわからなかったのですが、あの時の祖母は多分、私自身だけでなく、私の中にあるいろいろなものを守ろうとしてくれたいたんだと、あとになって気づきました。
湿疹が直ったあともそうした扱いは続きました。こいつになら何を言ったりしてもいいだろうと、いろいろと都合がよかったんでしょう。
頭の真後ろでバットをフルスイングされた時も、さすがに死ぬかなと思いました。
ただ、自分でも意外だったのはブスやブサイクという容姿に対しての悪口に対しては「化け物から人間にランクアップしたか」としか思わなかったことです。
気分がいいものではなかったけれど、ふつうの女の子がブスやブサイクと言われて感じるであろう「傷ついた・悲しい」という感情はほとんどなかったです。
自分にとって、自分の外見は貶されることがふつうで、悲観するでもなく、それが現実だから仕方ないことで、人間に分類されているだけマシかと本気で思っていました。
着飾ったり化粧をするのは自分のためではなく、一緒にいる相手や家族などに恥をかかさない・不快にさせないためのものでした。
家族がそうしたことを言ったとかでは決してなくて、その頃の自分にとってはそれが「ふつう」でした。
それなりに服や化粧品を自分で選んで買ったりもしてはいたものの、それを「楽しんでいたか」と言われると、正直わかりません。
ただ「これくらいの年頃なら、おしゃれを楽しむのがふつうだから」と。そうした意識もあったのかもしれません。
本当の意味で少しずつでもおしゃれを楽しめるようになったのは、手術後からだと思います。
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