それはまるで奴隷のような扱いから始まった

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「誰が入って良いって言った?」 「ご、ごめんなさい!お、俺この部屋だけ教えて貰ってなかったし何だろうって…その…」 「それ見て犯されたくなっちゃった?」 口の端を歪めながら見られ、全力で首を振る。ただでさえ嫌な思いしてるのに犯されるなんてそれこそ警察に捕まるべきだろ。 「犯すぞ出ろ!」 「ふぁい!」 俺は慌てて部屋から出てゆく。出てから男に向き直り土下座をして謝ると、男はしゃがんで俺の髪を掴んで引き上げる。 「っ…!!」 「そうだよ?エロ漫画家で、実際女達とそういう行為して描いてる。他の女のがまだ俺の扱い上手いぞ」 忌々しそうに手を離され、俺は土下座をしたまま男が寝室へ消えるまで居て、寝室が再び閉められてから顔を上げてふらっと立ち上がる。 俺の居場所なんてどこにも無い。だったら俺自身を無くせば良いんじゃないのか…? 風呂場へ行けば剃刀が置いてあり、俺はそれを首に当てたが手が震えて勇気が出ない。深呼吸して手首に押し当てて少し引けば赤い線が入り血が滲んできて俺はそれ以上やるのが怖くなり、剃刀を置いて寝室の扉の傍で膝を抱えて座り痛みを感じながら目を閉じる。 しばらく痛かったが、慣れるものだな…いつの間にか眠りに落ちてしまっていった。
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