それはまるで奴隷のような扱いから始まった

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冷たい茶を二つ用意して部屋へ向かいノックをすると、拓真が扉を開けて俺の手に持つものを見下ろして受け取ってゆく。ふわとあの臭いがして、扉が少し開いたまま戻ってゆき少ししてから男の気持ち良さそうな喘ぎ声とベッドの軋み、それに肌のぶつかり合う音が聞こえる。 もっともっとと気持ちよさそうに強請る声に胸が苦しくなり扉をそっとしめてどこに居たらいいか分からなくて部屋の傍で壁にもたれて座って膝を抱える。 「…い…おい…!」 「はい!」 呼ばれて膝から顔をあげれば服を着た拓真がしゃがんで俺を見ている。あれ?あの男は…?? 「またぶっ倒れるつもりか?」 「そういうつもりじゃ…ただ俺居場所無くて…」 「犬小屋でも作ってやろうか?」 イラッとしたのがわかり俺は首を振って膝に顔を埋める。拓真は舌打ちをして離れてゆき、顔をあげれば拓真は財布を持って出て行ってしまった。 「あ…」 怒らせてしまった…嫌われてしまった…?いや元々好意なんてなかったよな。膝を抱えてため息をついていればしばらくしてコンビニ袋をもって帰ってきて台所へ入ってゆくので立ち上がってついて行く。 中からは茶とコンビニ弁当二つを取り出して机に置いていて、俺に気付いて歩み寄ってきて鎖を掴んで引っ張られ椅子の隣に座らされ正座をする。 見上げていれば手にご飯を乗せて目の前に差し出され、俺はチラと見上げたがそれに視線を下ろして手を使わず食べてみる。するとつぎはオカズを乗せて目の前に出され食べてゆく。
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