それはまるで奴隷のような扱いから始まった

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食べ終われば男は満足したのか部屋へ戻ってゆき扉を閉めてしまう。俺は目の奥が熱くなるのを感じながら皿の欠片を拾い集める。警察に行くのとこの状況とどちらがましなのだろうか… 皿を片付け終わりまた冷蔵庫の中を見ていたが、とりあえず適当に寄せ集めて炒めて持って行ってみたがゴミなんて食えない言われ、台所へ向かったかと思えば湯を沸かしてカップラーメンを作って食べ始めている。 「な、なぁ…そろそろ俺帰っても…良いんじゃねーのか?」 「帰りたければどうぞ?」 「え…?良いのか?」 「構わねーよ」 俺はそう言われ、首輪を外そうとしたが外れなくて男に頼んでもカップラーメンを持って部屋に入られてしまい鍵をかけられてしまった… とりあえず服を探し歩けば寝室の床に乱雑に置かれているのを見て着てゆくが、まだほんのり濡れていて気持ち悪いが仕方ない。 家に帰ってポケットからガムを取り出しそれを握ってゴミ箱へ捨てて寝巻きに着替えてさっさと眠りにつく。翌朝首輪はカッターでなんとか切り外し、スーツに着替えて会社へ向かえば皆の視線が冷たいように感じた。 「おはよう」 「あ、あぁおはよ。なぁ…お前万引きなんてくだらない事してねーよな?」 自分の机の前に来て椅子を引いて座ろうとしながら同僚へ挨拶をすれば怪訝そうな顔をされてドキッとした。 「な、何で?」 「いや、お前が万引き常習犯って噂立ってて、部長とか頭抱えてたぞ?」 「や、やってるわけねーだろ?」 「だよな?だよなぁ!?知ってた!」 あははと笑いあったが心の中は冷えきっていて、俺は唇を噛んである事を決意した。
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