吉倉さくらになりたいの

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 高校卒業後、私は地元の企業に就職し、さくらは都会の大学に進学した。  高校を卒業して2ヶ月、久しぶりにさくらから電話があった。 「あー元気だった?」 「うん。仕事は大変だけど元気でやってるよ。さくらは、元気?」 「私? 私は元気 元気、ちょー元気」 「毎日、楽しくやってるよー」 「そう言えば、吉倉さんと会えた?」 「それは残念ながらまだ……」 「吉田君はいたんだけどねー」 「吉田? 吉倉と全然違うじゃん」 「吉田さくらじゃダメなんでしょ?」 「うん、もちろん」 「私は、吉倉さくらになりたいんだから」   さくらは、吉倉さんにはまだ、会えてないようだけど、声を聞いてると楽しそうだった。  私はというと、親友のさくらとすぐに会えなくなって少し寂しいけれど何とかやれている。  初めて、念願の彼氏も出来た。名前は藤倉くん。  同期入社だけど、歳は2つ上。イケメンの部類には入らないけれど、優しくて気がきく。何より私のことを「かわいい」と言ってくれる。  大好きだ、大好き。藤倉って苗字だから好きなわけじゃない。人として大好きなんだ。    
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