一章 千年の邂逅

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シャツよりも高価なスカートを弁償すれば、凜花の生活は一気に苦しくなる。 普段から無駄遣いはしないが、月々の貯金は微々たるもの。全財産だってたいしたことはない。そこから補填するとなれば、〝痛い出費〟では済まされない。 シャツのときと同じように訴えたが、故意にスカートを汚したのは明らかで、所長の返答は二週間前となんら変わらなかった。 以来、シミ取り剤を持ち歩くようになったのだが、はっきり言ってこの程度のことでは予防にも解決にもならない。 (よかった……。取れた……) それでも、シャツにシミがつかなかったことに安堵する。 濡れたシャツをタオルで挟んで水気を吸い取るようにすれば、まだ湿っているが着られないことはなかった。 (こんなこと、いつまで続くんだろ……) 考え出すと気が重いが、今はデスクに戻るしかない。 昼休憩はあと十五分しかなく、コーヒーに浸されたお弁当を片付けなくてはいけないのだから。 重い足取りで事務室に戻った凜花は、自身のデスクを見て目を見開く。 コーヒー塗れのお弁当箱が、ひっくり返っていたのだ。
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