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 以上が知り合った経緯である。  その後、元々なかった居場所に再び行くこともなく、俺は無事に不登校児になった。退学処分になると思いきや、クラスメイトが校長に直談判したらしく、理由が理由なために休学扱いになった。奴らにとっての贖罪のつもりだろうか? 今は授業を受けない分、学校から送られてくる課題をこなす日々だ。  担任は校長に着服の件がバレ、めでたく懲戒免職になった。  今は昼間に課題をやりつつ、成園のアパートの草抜きのバイトをしたりして生活している。なかなか充実した毎日だ。  成園は自分が探偵役になっていたことを自覚していないらしい。さっき「探偵にならないのか?」と成園は俺に訊いたけど、成園が探偵なのだから、俺が探偵を目指す理由はあるまい。  俺が助手として色々聞き回ったりしてネタを集めれば、成園が便秘になることはあるまい。いちかさんも泣かなくて済む。  ナポリタンで満腹になった成園は、満足そうな顔をしている。  カウンターの明かりが消えた。とうとう看板の時間らしい。 「出るで」  成園を起こし、会計をする。 「今日は夏貴の奢りで!」 「殺すぞ」  店を出ると、吐息の輪郭がわかるほどに冷え込んでいた。 「今年はとんでもない一年やったわ」 「そうかい? 私は色々新鮮だったよ」  そう言って成園は笑った。白い息が流れる。  古墳の周りの道を歩き、見慣れた赤煉瓦の建物に着いた。 「じゃ、また」 「おう、ほな」  学ランの防寒力は低かったみたいだ。背中から冷え込む。 「あ、そうだ。夏貴ー!」  アパートの玄関前にいた成園が振り返る。 「良いお年を!」 「声でかいわ! 近所迷惑やろ! ……良いお年を!」  手を上げて振り返る。来年は平穏な生活を過ごせたらいいな。  社会不適合者の俺は、澄んだ夜空に輝くオリオン座にただただ願うばかりだった。 
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