0人が本棚に入れています
本棚に追加
「澪(みお)がなれるわけねぇじゃん」
「ってか、お前が目指していいもんじゃなくね?」
「ほんと、それな。馬鹿じゃねぇの?もっと真剣に考えれば?」
「じゃあな、ブス」
同じクラスの女子が澪を罵り、笑いながら教室から立ち去って行った。
「はぁー」と深くため息をついた。
すると、ガラガラとまた扉が開いた。
振り返るとそこには学校一の美人と言われている紗海(さな)立っていた。
「あれ?澪ちゃん。どうしたの?」
澪に近づいてきた。
「紗海さん?いえ、ちょっと...」
紗海が澪の顔をじっと見つめた。
「目、真っ赤だけどどうしたの?」
「な、なんでもないです」と澪はそっぽを向いた。
「ほんとに?絶対なんかあったでしょ?私で良かったらなんでも聞くよ」
紗海は優しくて、本当に同級生と思えないくらいのお姉さんで話やすい。
だけど、また話を切り出したら笑われる、いじめられるんじゃないかって澪は少し怖かった。
そんなことを考えていると、ガラガラとまた扉が開いた。
「おっつーす!あれ、紗海に、谷崎さんじゃん!どったの?」
急に現れたのは、クラス一の人気者である瑠美(るみ)だった。
「瑠美。えーと、澪ちゃんと真剣な話」と優しく微笑みかけた。
「なるほどね。僕も混ざったまずい感じ?」と駆け寄って澪をじっと見つめた。
「大丈夫...です」と顔を少し下げた。
「大人しくしてなさいよ、瑠美」
「分かってますっす!」と歯を見せて笑った。
「ごめんね、澪ちゃん。で、ほんとになんもない?もしかして、倉崎さんとかになんか言われた?」と首を傾げ、真剣な眼差しで澪を見つめた。
「倉崎か...。なるほど、なるほど。僕が一回占めてこようか?」と手の関節を鳴らした。
「いや、待って。澪ちゃん、私達を信じて話してほしい」と澪の手を優しく握った。
「わ、わかりました。あ、あの...。宿題で将来の夢ってあったじゃないですか…。それで、倉崎さん達に見られてしまって。からかわれてしまったと言いますか...。言われて、悔しくて...」と唇を噛み、ぐっと手を握った。
「よければ、その澪ちゃんの夢聞かせてくれないかな?私達で良ければ聞くよ。ちゃんと。絶対に馬鹿にしない、笑わない」
紗海と瑠美の真剣な目を見て、ごくりと唾を飲みこんだ。
「分かりました。私の将来の夢は、自分の書いた小説を広めることなんです。ま、全然才能
最初のコメントを投稿しよう!