なりたかった者

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がないから、倉崎さん達に言われても、しょうがないんですけどね。。。」 「いい夢じゃん!めっちゃかっこいい!」 「え?」と澪が目を見開いた。 「ね、紗海」 紗海が目を瞑り、コクリと頷いた。 「凄くいい夢だよ。小説書けるなんてすごいよ!」と目をキラキラと輝かせていた。 「は、初めて言われました。お世辞でも私嬉しいです」と照れた表情を見せた。 「お世辞じゃないっすよ!すっごいいい夢じゃん!僕、応援するぜ!ってか、小説見せてくんない?」 「で、でも、私の小説面白くないよ。それに、他の人と比べたらすごく下手ですし...」 すると、紗海が手を握った。 「私も見たいな。澪ちゃんの小説。どんなのだって、書き上げてるのって凄いよ。私にはできないし、そんな子周りにいないからびっくりしてる」 真剣に聞いてくれる2人に心を打たれ、自分が書いている小説を2人に見せた。 真剣に読んでくれている2人に少しドキドキしながら、小説を見終わるのを待っていた。 2人が顔を下に向けていた。 「あ、あの...」と恐る恐る澪は二人に話しかけた。 「面白い」 「こっちも面白かった。バトルもんとかめちゃくちゃやばい。この主人公の友人が死んじゃったのめちゃくちゃうるっときた」 こんなに普通に褒められたのが嬉しかった。 下手くそで、全然文章ダメダメなのに、コンクールも全然ダメなのに、お世辞でも嬉しいと澪は心の底から思えた。 「これ、馬鹿にする倉崎達、マジでムカつくんだけど」 瑠美は拳を握り、立ち上がった。 「ね、澪ちゃん」 「はい...なんでしょう?」 「澪ちゃん、諦めずに小説書き続けてほしい。私出版社さんになるのが夢でね、いつかきっと澪ちゃんの本を出版したい。だから、絶対諦めないで。約束」と指切りのポーズをして優しく微笑んだ。 「わ、分かりました。紗海さんの役に立てるように私頑張ります。絶対に」とうるっと涙を流した。 「なに、そのエモい感じ!僕も混ぜてよ!!」 これまでずっと、下手でやめろ。面白くないと叩かれた。
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