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目覚め
目が覚めたのは、窓から差し込む月光が
私の全身を照らした時でした。
後から知ったことですが、あの無言の光が、どうやら
私に秘密のパワーを授けたみたいです。
眼だけを動かして様子を窺えば、
そこには、私と同じ背丈の女のコ達が、大勢
立っていました。
同じ年頃の女子が集まれば、そこかしこで
お喋りに興じているものですが、
そのお部屋は静謐と言っていいぐらい、しんと
静まり返っています。
薄暗い部屋の中で並んでいる彼女達は、
皆、半透明のお洋服を身体に巻き付けていました。
後になって、それはお洋服とは呼べない代物
だったと気づいたのですけれど。
皆、ツンと一定方向を指し示すように
小さな顎を上げており、同じ方向を見ていました。
たぶん、私も彼女達と同じポーズを
取っていたことでしょう。
ただ、私の眼だけが、その光景を確と、
捉えていたはずです。
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