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「君は何で泣いているの?まさかあの女の子の薄っぺたい謝罪で泣いているのかい?」
綺麗な男の子は冷たい顔で広場を見つめています。
「薄っぺたい?いや、あの子はここに来て僕に話かけるのにとても勇気が必要だった筈だよ。しかも自分の言葉で変わっていく国民を見てどれほど恐ろしかったことか」
バケモノは星を眺めて話ました。
不思議な事に痛みが全くありません。
「この国の王が君だったら素晴らしい国になっていただろうに…」
バケモノは驚いて男の子を見ました。
「僕が王様?何を言ってるんだい?バケモノが王様なんて聞いた事ないよ」
「本当の美しさや、本当の醜さは見た目じゃないんだよ。でも人間はそれを全く分かっちゃいない」
男の子は深いため息をつきました。
「愚かだ」
その声は今までの様に可愛い声ではなく、深い井戸の底から聞こえている様な暗く冷たく重い響きをしていました。
「折角この国にこんなにも美しいものを授けてあげたのに、こんな扱いをするなんて…」
男の子はバケモノの頬に手を添えました。
「この世は君の居る場所じゃない。君にふさわしい場所に連れて行ってあげるよ」
「僕のふさわしい場所って?」
「君は何になりたかったって言ってた?」
「美しい星」
男の子はにっこり笑いバケモノを抱きしめました。
すると2人は輝きだし、金色の塊になって細い光の線を描いて夜空に消えていきました。
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