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バケモノの花
次の日の朝、国は大騒ぎになっていました。
檻に入っていた筈のバケモノが居なくなっていたからです。
国中は勿論、国を超えてまで探しましたが、どこにもバケモノの姿は見つかりませんでした。
そして国にとって大変な事が起きていました。
『王様の蜜』を作る為の花が一斉に枯れてしまったのです。沢山の種が入っている実も次々腐っていきます。
バケモノの呪いだと皆口々に言いました。
呪いなど王様は信じません。今までだって自分の思い通りに出来たのです。残っていた数粒の種を国で一番の腕を持つ庭師を呼び出しまし「育てよ」と命じました。しかし土に埋めようとすると種は灰の様にサラサラの粉になってしまったのです。
王様は怒ってその庭師を処刑しました。
庭師はまだ種を植えてもいなかったのに。
次に王様は有能な占い師を呼び出しました。
占い師は大きな水晶玉を見つめて深く息を吐きました。
「私は命をかけて本当の事を申し上げます。この地は理性を失い欲で汚れてしまっております。この汚れた地にはあの花は咲く言葉は二度とないでしょう。そして…」
そう言いかけて口も目を固く閉じました。
「この地が汚れているだと? このインチキ占い師が!」
そう怒鳴ると、王様はその占い師も処刑してしまいました。
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