621人が本棚に入れています
本棚に追加
1
9月末・・・
自分の目の前にストン────....と落ちてきた、まるで吸い寄せられてきたかのようなカラフルで可愛い花束・・・。
それを両手でキャッチした・・・。
ブーケトスにより、花嫁さんから投げられたブーケを・・・。
私がキャッチをしたことにより、私の周りにいた女の子達は微妙な空気になった。
「せんぱ~い!!
次はせんぱいの番ですね!!」
この披露宴の主役である花嫁、マツイ化粧品のダブル代表の1人、その社長の第二秘書をしている長峰。
「先輩、俺の学生時代の先輩とかもいるのでここも出会いの場ですからね!!
気を抜かないでいきましょう!!」
長峰の隣に立つ新郎は、マツイ化粧品のダブル代表のもう1人、その社長の第二秘書である宝田。
この2人が新卒の時は、私が教育担当をしていた。
新卒の頃から犬猿の仲の代表のようなこの2人。
当時の社長が会長職となり、代表取締役はダブル代表とした。
この2人がそれぞれの社長の秘書となったのは今年の4月からのこと。
つい先日まで犬猿の仲だったはずなのに、突如結婚を発表。
その1ヶ月後の今日は挙式まで挙げている。
企画部の課長をしている私は、2人の教育担当だったこともあり企画部を代表して招待してくれた。
そんな2人に複雑な気持ちになりながら笑い返していると、司会の女性がマイクを持ってにこやかに私の元へ来てしまった。
そのマイクに向かって私は口を開く。
「子どもが2人いるので、それでも良いと思ってくれるような方がいれば、次は私の番になれるかもしれませんね。
今日は最後まで気を抜かないでいこうと思います。
2人の教育担当をしてた時はめちゃくちゃ大変だったけど、こうして2人の1番幸せな場に立ち会えて感無量だよ、おめでとう!」
私がそう喋ると、周りの女の子達の空気も少し和らいだ。
最初のコメントを投稿しよう!