622人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな言葉に、私は苦笑いをする。
「え!?黒住さんって守ってあげたくなるの!?」
「それは全然分からないや、めっちゃ強そうだし!!」
「実際強いし!!」
レイラと希奈が地声であろう声で大きく喋り、男の子の方を見ている。
男の子はそれに笑いながら続ける。
続けてしまう・・・。
続けてしまった・・・。
「血も繋がらない、戸籍上も関係ない、そんな子どものお母さんになると決めた女の子なんて、守ってあげたくなるじゃないですか。」
そう、続けてしまった・・・。
「でも、前の旦那さんの子どもならそういう人もいるんじゃない?」
レイラが鋭い目でそう言ってきたので、私は口を開いた。
口を開いたけど・・・
私よりも先に男の子が口を開いた。
「黒住さんに前の旦那なんていませんよ?
1回も結婚したこともなければ、その子ども達の父親とも恋人関係じゃないですよ。
その子ども達に残されていたのは母親の方で、父親はその母親よりも前に死んでいるので。」
そんな言葉に女の子達が絶句する中、私は片手で頭を抱える。
そう勘違いしてくれていた方が楽だったので訂正してこなかった本当のことを、この男の子が喋ってしまった・・・。
「血も繋がらない、戸籍上も関係ない、そんな子どものお母さんになると決めた高校生の女の子。
それも高校1年生でしたからね。
そんな女の子、守ってあげたくなりますよね。」
人事部、社内組織の構築・再編、人材育成担当にいる男の子。
人事部の他の担当よりも詳しい社員情報を持っている男の子が・・・。
言ってしまった・・・。
本当のことを、言ってしまった・・・。
最初のコメントを投稿しよう!