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長峰と宝田の間に立ち、カラフルで可愛い花束を両手で持ちカメラマンに写真を撮られる。
それを出席者全員に見られる。
真っ白なウェディングドレスとタキシード姿の2人の間に、真っ黒な私。
1サイズ上の黒いパンツドレスに黒いパンプス、黒い髪の毛はアップにしているけれど、結婚式と披露宴の出席なのに薄化粧。
真珠のネックレスだけが光るような姿。
そんな姿で笑っている姿を写真で撮られ・・・
私は笑いながら小さな声で2人に言う。
「何があったのかは聞かないけど、もっとしっかりと笑いなさい。
見る人が見れば分かる。
社内だけじゃなくて取引先まで大々的に呼んでの結婚式。
不満タラタラな顔をしてたら台無しだからね。」
「「・・・了解です。」」
新卒の頃から毎回のように言葉が揃う2人に笑うと、2人も面白そうな顔で笑いだした。
「突然だったのによく人数集められたね?」
「「片っ端から声掛けまくりましたからね。」」
「あと数時間、気を抜かないでいきなね。」
「「了解です。」」
仲が悪いんだか良いんだか分からないような2人に笑いながら、自分の席へと戻る為に歩き始める。
「せんぱい、せんぱいも楽しんでくださいね!!」
長峰が私の背中に声を掛けてくれ、少し振り返りながら笑った。
「お酒、浴びるように呑んでいく!!
2人の子持ちで酒呑みの女でも良いって思ってくれる男がいるかもしれないしね!!
最後まで気を抜かないでお酒呑んでいく!!」
「「せんぱ~い・・・!!」」
2人の声を背中に聞きながら、笑いながら歩き出した。
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