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9月末・・・ 自分の目の前にストン────....と落ちてきた、まるで吸い寄せられてきたかのようなカラフルで可愛い花束・・・。 それを両手でキャッチした・・・。 ブーケトスにより、花嫁さんから投げられたブーケを・・・。 私がキャッチをしたことにより、私の周りにいた女の子達は微妙な空気になった。 「せんぱ~い!! 次はせんぱいの番ですね!!」 この披露宴の主役である花嫁、マツイ化粧品のダブル代表の1人、その社長の第二秘書をしている長峰。 「先輩、俺の学生時代の先輩とかもいるのでここも出会いの場ですからね!! 気を抜かないでいきましょう!!」 長峰の隣に立つ新郎は、マツイ化粧品のダブル代表のもう1人、その社長の第二秘書である宝田。 この2人が新卒の時は、私が教育担当をしていた。 新卒の頃から犬猿の仲の代表のようなこの2人。 当時の社長が会長職となり、代表取締役はダブル代表とした。 この2人がそれぞれの社長の秘書となったのは今年の4月からのこと。 つい先日まで犬猿の仲だったはずなのに、突如結婚を発表。 その1ヶ月後の今日は挙式まで挙げている。 企画部の課長をしている私は、2人の教育担当だったこともあり企画部を代表して招待してくれた。 そんな2人に複雑な気持ちになりながら笑い返していると、司会の女性がマイクを持ってにこやかに私の元へ来てしまった。 そのマイクに向かって私は口を開く。 「子どもが2人いるので、それでも良いと思ってくれるような方がいれば、次は私の番になれるかもしれませんね。 今日は最後まで気を抜かないでいこうと思います。 2人の教育担当をしてた時はめちゃくちゃ大変だったけど、こうして2人の1番幸せな場に立ち会えて感無量だよ、おめでとう!」 私がそう喋ると、周りの女の子達の空気も少し和らいだ。
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