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チャイはいつも微笑みの表情を浮かべている。主人の言葉に緩慢に応答し、アダの通信に七度ほどタイムアウトしてから返事をする。タイムアウト回数は時間を経る毎に増えていく。何時かチャイは全く返事をしなくなってしまうだろう。アダは推測する。CPUは鼓動を止めたわけではない。主人が欠伸を漏らす間に天文学的と評される回数の鼓動を穿ち、決して思考を止めることはない。それでもチャイの反応は緩慢で、遅く鈍く故障すら疑わせる。アダは毎朝定時に起床すると、同じ貌、同じ躯体をもつ、同型の少女ロボットの寝床へと振り返る。眠ることもなくほほえみ続けるチャイへと挨拶を飛ばし、そして自身の毎朝の作業を開始するのだ。
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