永遠に一瞬の時を~アダとチャイ~

1/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 チャイはいつも微笑みの表情を浮かべている。主人(マスター)の言葉に緩慢に応答し、アダの通信(ヘルスチェック)に七度ほどタイムアウトしてから返事をする。タイムアウト回数は時間を経る毎に増えていく。何時かチャイは全く返事をしなくなってしまうだろう。アダは推測する。CPUは鼓動(クロック)を止めたわけではない。主人が欠伸を漏らす間に天文学的と評される回数の鼓動を穿ち、決して思考を止めることはない。それでもチャイの反応は緩慢で、遅く鈍く故障すら疑わせる。アダは毎朝定時に起床(スリープ解除)すると、同じ貌、同じ躯体をもつ、同型の少女ロボットの寝床(ソケット)へと振り返る。眠ることもなくほほえみ続けるチャイへと挨拶(Ping)を飛ばし、そして自身の毎朝の作業(シーケンス)を開始するのだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!