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愛する人
2人の気持ちは同じだった、海辺の砂の上で2人はドラマではできなかった熱いキスをした。
これからは2人一緒だ。
電話もメールも毎日しよう。
でも、2人のことは絶対に秘密だ、今俺たちの関係が表沙汰になれば芸能界からも社会的にも抹殺される!
絶対に普段は知らないふりで行こう・・・・・そして何かあったら1人で考えないで2人で決めよう・・・・・必ず毎日電話するしメールするから……いいな!
そう話し合って2人はそれぞれの場所へと帰った!
ドラマの人気は日を追うごとに加熱し始めた、ドラマの内容がブロマンスだったことで2人をカップルにしたいファンと絶対したくないファンが、あらぬ誹謗中傷を始め過去の写真や捏造写真まで出始めた!
特に霧野 七海への誹謗中傷が激しく家族までが中傷被害の犠牲になっていた、遠野 夏生は気が気ではなかった、七海の繊細な優しい性格が傷つきそうで怖かった!
遠野 夏生はその都度メールをした、七海からはいつも「大丈夫だから心配しないでありがとう!」そう返事が来た!
事務所からも厳重に注意された。
二人揃うのはファンミと番宣のみ、その時もあまり近づかない、視線を合わせるなと細かく言われた。
マネージャーまでが見張り役となった!
二人は徐々に追い詰められた。
ドラマが高く評価され様々な賞も受賞した。
授賞式に出ても話すこともお互いを見つめることも出来ず、座る場所も離れていた!
夏生はなるべく見ないようにしたがそれでも自然と七海のことが気になって、顔を向けてしまう!
七海の顔は疲れ憔悴しきているようだった!
そんな時地方でファンミがあった・・・・遠く離れた場所でのファンミは最高に盛り上がりファンは二人の登場にキャーキャーと騒いだ。
だが七海はインタビューでもゲームでも絶対に夏生を見なかった。
恐らく事務所からは何度も何度も注意をされ生真面目な七海は必死でそれを守っている事が夏生にはわかっていた。
夏生は新人とはいっても15歳で歌手としてデビューしている、俳優としては新人だが芸歴はそれなりにあった、芸能界がどうゆう場かもわかっている、だが七海は違う。
演劇が好きな普通の青年だった、今回のドラマのプロデューサーがたまたま見かけてスカウトし、ドラマのオーディションに参加した、芸能界とは無縁の新人だった。
ラストのデュエット曲で二人揃ってマイクを握った。
2人は舞台の端の競り上がった別々の場所に立っていた・・・・・七海は真っ直ぐに前を見て歌い出す。
夏生は七海を見た…………
七海は観客に笑いかけながら手を振って歌う。
夏生はずっと観客に横顔を見せたまま七海の方を向いて歌った。
七海の顔を見つめながら、七海の胸の内を考える、その辛さ息苦しさが七海から伝わってくるようで涙が溢れだした・・・・・大画面に映し出された泣いてる夏生の顔。
その画面にファンから、嬌声が上がった
七海は会場の異変に気がついた・・・・・・夏生の顔が映し出された大画面を見て七海の目からも涙が溢れ出した・・・・我慢の限界だった、そのまま夏生に抱きつきたい衝動を押さえるのに必死だった。
見つめ合って泣きながら歌った!
ファンミは大盛況に終わり、すぐに2人はそれぞれのマネージャーに連れられて別々のホテルへ戻された!
部屋に着いて七海は夏生の顔を思い出して泣いた・・・・・・携帯には夏生からのメールが溢れていた!
どれもが心配のメールだった、返事しようとしたその時ドアを叩く音がした。
携帯をもってドアを開ける…………
ドアの前に夏生が立っていた。
七海は泣きながら夏生の胸に顔を押し付けた。
夏生も泣いていた。
「泣くな、俺がそばにいる」
その夜夏生は七海をしっかり胸に抱いて眠った!
あの日海で逢ってからわずかしか立っていないはずなのに、七海はずいぶんと痩せていた。
顔色も悪く消えてしまいそうに儚げで、夏生の胸は張り裂けそうに辛かった!
新人の七海にはこんな状況酷すぎる。
そう思っても、今の自分には何の力もない。
朝七海が起きると夏生はいなかった、その代わり手にメモが握られていた!
【七海!人に見られるとまずいから先に出る、あまり心配しないでなんかあったら必ず電話かメールしろよ!】
夏生の優しさが溢れていた。
七海はゆうべ久しぶりにゆっくりと眠れた、夏生は自分のことを心配してこっそりと逢いに来てくれた、人に見られる危険を冒してまで心配してくれた、それが嬉しかった!
二人は別々の飛行機で帰路に就いた。
二人の人気は不動のものとなり、あらゆるCMの仕事もきた!
違うブランドのアンバサダーになり、違うスポーツウェアーの広告塔となり、競い合わせるごとく二人を起用していく!
忙しくて電話する時間すらなくなって、疲れ果てて帰る日が続いた。
そんな時にも二人は必ずメールだけはした!
わずかな時間が貴重だった!
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