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「聖女が2人?」
王宮の謁見の間で国王陛下は2人の女性を交互に見た。
第1王子クロードが連れているのは、豪華な赤いドレスが良く似合う美しい女性。
茶髪の長い髪は綺麗に巻かれており、大きな胸に引き締まったウエスト。
第2王子ハロルドが連れているのは、ピンクのドレスの少女。
茶色の髪は肩につかない長さでふわふわしている。
細く華奢で守ってあげたくなるタイプだ。
「彼女はキョウカ」
「こちらはメイです。父上」
王子クロードとハロルドはそれぞれ彼女達を紹介する。
国王陛下は頷くと、黒いローブの魔術師団長の方を見た。
「ようこそ聖女様。どうか我が国を守るためにお力を貸してください」
黒いローブを着た魔術師団長がキョウカとメイに頭を下げた。
「守るって何をするの?」
「聖女様のお力で国全体に結界を張って頂きたい」
結界? と赤いドレスのキョウカは首を傾げる。
「やり方がわからないわ」
キョウカが困った顔で見ると、すぐにできるようになるよと第1王子クロードは微笑んだ。
「私も、わからないです」
ピンクのドレスの女子高生メイも不安そうな顔で第2王子ハロルドを見上げる。
「一緒に頑張ろう」
第2王子ハロルドはメイの手を握った。
「これから毎日お二人に魔力操作の方法を教えますが、お二人一緒が良いでしょうか? 別々が良いでしょうか?」
魔術師団長がキョウカとメイに尋ねると、キョウカは別々が良いと答えた。
「聖女キョウカ、聖女メイ。何か困ったことがあれば遠慮なく息子たちに言ってくれ」
「ありがとうございます陛下」
にっこり微笑むキョウカ。
「あ、ありがとうございます」
遠慮がちにお礼を言うメイ。
性格は対照的なようだ。
王子達にエスコートされ謁見の間を去る聖女たちを見送ると、国王陛下は再び魔術師団長を見た。
「2人とも聖女なのか?」
国王陛下の問いに魔術師団長は悩んだ。
「前例がないのでわかりません」
まずは魔力操作から教え、適性を見たいという魔術師団長の言葉に国王陛下は頷いた。
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