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第1話どこから行こうか?
私は、今、迷っていた。フェストリワ共和国という国か、ラグドカニという国、どちらも風景が綺麗らしい。先ほど、日記を見てみたものの、必要最低限のことしか書いていない。困ったものだ。
「どうしましょうか…。あ、あそこに男の人が、あの人に聞いてみましょう…あの!旅人さんですか?」
「そうだけど、どうしたんだい?」
「フェストリワ共和国とラグドカニってどっちが風景キレイですか?」
「どちらも汚いとこだよ。」
「へ?」
「あぁ、すまない。言葉が悪かったね。あの二つの国はね、嘘つきしかいないんだよ。昔は
綺麗だったんだけどねぇ。どっちも王が嘘つきだからねぇ。」
「そうだったんですか。」
「君、魔女かい?そのほうき、魔女専用のほうきだよね?」
「あ、多分、そうです。」
「多分?」
「・・・・私、記憶喪失なので、分からないです。」
「ふぅん。君、名前聞いてなかったね。名は?」
「ネルです。あなたは?」
「ラカルだ。ネルさん、生活に困ってないかい?」
「あ、そうですけど」
「この辺りは、危ないから、私の家に来なさい。」
「へ?」
「別にやましい思いでじゃない。老人の最後の願いだと思って、お願いだ」
「・・・・・・分かりました。」
そのあと、ラカルさんは、歩いて、少し、大きい家に着きました。
「ここですか?ラカルさんの家は」
「中に入りたまえ」
「はい」
ギィという音を立てながら、扉が開きました。
「どうして、私みたいなのを家に入れたんですか?私、結構、怪しいと思わないんですか?」
「私の孫はね、魔獣にやられて死んだんだ。」
「・・・そ・・うなんですか」
「ああ、最初、ネルさんが、私の孫に見えたんだ。だから家に招いた」
「私がお孫さんに・・・?」
「ああ、どうせ、私もすぐ死ぬ。もうこの年だから。だから最後にお前さんに親切にしたいと思った。孫のために。」
「なるほど、それは、私が孫に見えたからですか?」
「さて、もうすぐ夜だ。夕食の準備をしよう。働かざるもの食うべからずだ」
「はい・・・」
窓から外を見ると、夕日が出ていた。そして、私も手伝いにラカルさんのあとを追うのだった。
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