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第2話初めての涙
私は、ラカルさんについて何も知らないなと思った。ラカルさんは、多分、67歳くらいだろうか。そして、孫が早くに亡くなったようだ。ラカルさんは、優しい。さっき、夕食の支度をしようとついて行ったのだが、「客人に手伝わせるわけには、いかないよ」と優しく微笑んでくれた。なので、リビングのソファーに私は、とりあえず座った。
「私、気持ち悪くないですか?」一瞬、自分でも何を言ってるか分からなくなった。
「どうして、そう思うんだい?」と不思議そうに首を傾げるラカルさん。
「だって私、オッドアイなんですよ・・・」
私は、つけていた狐の仮面を外した。
「・・・それがどうしたんだい?別にいいじゃないか。綺麗な目だね。黒色と紺色の」
私は、涙がこぼれそうになった。こんな事は、初めてだ。記憶がないから、色んな所に旅をしている時、みんなにからかわれた。なのに、!
「ド・・どう、うっうっ・・・してッ何、で、す・・か?」と私は涙がこぼれて止まらなくなった。分からない。このラカルという人。分からない。どうして?
「私が綺麗だと思ったからだよ。他の人は、そう思わないだろうけど・・・この世界では、オッドアイの人は、悪魔の化身だと思われているからね。」
「うっうっ、あううっアッアアう」私は、逃げ出すようにして、自分のバッグをつかんで、仮面をつけて、泣きながら、逃げた。
「待て!今、外に出たら、危ない!」
とラカルさんが叫んだが、私には、聞こえなかった。私は、急いで、この地域から逃げようと、ほうきに乗ろうとした。しかし
「ま、魔獣?!」
魔獣がほうきを噛んでいた。
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