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第7話知っている人
目の前には、とても、大きい工場の廃墟がある。
「ここですかね・・・。」と私は首を傾げる。
「そうなんじゃにゃい?知らないけど。」とユウは、言いながら、後ろを振り返る。その先には、ラノが汗を流しながら、こちらをにらんでいる。こちらと言っても、ユウの方だが。
「何でだよ!ユウ!何で、ほうきに乗ってるんだよぉ」と今にも泣き出しそうな声である。
「にゃんのことやら、オレわかんにゃーい。」と可愛く、アゴに、手をあてるユウ。
「・・・・行くぞ!」とラノが工場のドアを思いっきり蹴って、開けた。
「ちょっと乱暴すぎないですかね。別に蹴らなくてもいいんですけど。ドアの取っ手ありますし。」
「あれ?誰もいないじゃん」と驚いているラノ。
「にゃん??」とユウ。
ちなみに、私は、死んだ魚の目をしていた。
数分後。誰もいない工場で、私は、あることに気づいた。ドアが勝手に静かに閉まった、という事と、かすかに視線を上から感じること。
「・・・。いますね。上に」
「にゃ。」
「え?そうかぁ?」
とりあえず、ほうきで全員、天井から落とした。「ガハッ」「ウゥ!」「痛!」という様々な声が聞こえる。そのなかで、一人が立っていた。うつむいている。そして、顔を上げる。
「・・・・あなただったんですね。」
そこには、ラカルの顔があった。
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