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「することって言ったら、アレに決まってるやんなあ」
雅樹と沢目が顔を見合せ、にやにやと笑った。3人はB組の教室に入り、窓際まで行くと、話を続けた。
「けど服着てたんやろ?」
ようやく理解出来た利明が、体育倉庫でする訳がないといった顔で聞いた。
「まあな。服は着とったけど、あれは100%エッチしてたで」
沢目が腕組みをし、天井を見つめながら言った。
「声かっ!?聞いたんか?」
目をキラキラと輝かせながら、雅樹は返事を急かすように言う。現実に女の喘ぎ声を聞いたことのない雅樹は、少し頬を赤くした。その様子を見ながら、利明は笑いをこらえて沢目が話しだすのを静かに待った。
「いや、声は聞いてない。けど、倉庫から出てきた男が西中の部長に、渡しとった」
「なんやて?なにを?」
利明と雅樹の声が重なり、同時に目を見開いて顔を前に出した。沢目は、2人の顔を交互に見つめた。その目には何か企むような光が宿っていた。利明も雅樹も、好奇心と、知ることの恐怖心の入り混じった可笑しな顔をして、体を強ばらせる。
沢目は生唾をごくりと飲み込むと、ゆっくりと口を開いた。
「使用済みのゴムや。ものすごい目で睨んで、なんか渡すみたいに手を前に出したんで反射的に西中の部長が受け取ったら、それがゴムやった。隣にいたからよく見えたけど、汁入りやったで」
わざとらしく怖い顔を作って言っている沢目を、胡散臭く思いつつも、利明は制服のズボンで手のひらを拭いた。雅樹も、使用済みのコンドームが手のひらに乗ったのを想像してだろうか、手をパンパンと払っていた。
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