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「体育倉庫でとか、マジすげえ。しかも当時中学生やろ?」
雅樹がはしゃいだ声で、利明の肩を叩きながら言った。
「けど、偉いやん。ゴム使うたんやろ?」
利明が真顔で言うと、叩く手が止まった。
「オカバは何もわかっとらんな」
沢目は嫌味な笑いを浮かべ、雅樹と一緒に笑いだした。
「なんや」
「体育倉庫なんかでヤル女やん。いろんな男を食うたり、オヤジ相手に援交しとるはずやで。ヤリマンとするときは、ゴムは必須や」
「そうやで。気い付けなあかん」
雅樹も同意するようにうなずきながら、得意げに鼻を鳴らして利明の肩をポンポンと叩いた。
「しかしなあ……童貞2人にそう言われても、説得力ないで」
利明の言葉に、雅樹はふんっと笑った。そして3人を差し、大きく丸を書いた。
「俺たち3人童貞組やろ」
利明は、雅樹と沢目の手を取り握る。3人は横一線に並び、声を揃えて言った。
「1、2、3、チェリーボーイ・ビクトリー!」
つないだ手を上に振り上げたとき、教室の戸が開いた。
「おーし、おはよう。とりあえず適当に近い席に座れー!」
スーツ姿に、白いネクタイと白い花を胸に付けた男性教師が入ってきた。利明たちは、気まずそうに顔を見合わせて、席に着いた。
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