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「沢目、俺たちのクラスも見てくれ。人がいすぎて、よう見えへんわ」
利明は沢目の肩を叩いた。沢目は顔を上下させ、端から順に名前を流し見る。
「んー、オカバはB組。雅樹もオカバの下に名前あるしBやんか。俺もBや!3人共Bやで」
「マジか!?やりい!」
雅樹はそう言うと、沢目の背中に飛び付いた。彼を背負った沢目はよろめき、利明の背中を押すようにぶつかった。さらによろめいた利明は、掲示板の前に立つ人ごみの中にダイブした。
「いってえなー!誰だよ!」
腰を押え、眉を寄せて目をつり上がらせた女がいた。利明が目を伏せると、女は睨み付けてきた。
「うざキモッ。しばくぞ」
女が言うと、左側の女も口を開いた。
「ほんまキモッ。ガキがはしゃぐなや!」
2人共髪の毛を縦巻きにして、同じような背格好で、ばっちりとアイメイクをしていた。香水だろうか。鼻の中が痒くなるような甘ったるい匂いが、漂ってくる。あまりの罵声に利明は黙り込んだ。掲示板を囲んでいた生徒も、後退りをしていく。
「おまえ、アホか。ガキってお前らも同い年やないか」
沢目の背中から飛び降りた雅樹が、加勢する。
「キャー、キモッ。お仲間参上ってか?超うざいしボケ」
女は腰を擦りながら、わざと甲高い声を出した。
「ぶつけたの、お前しかおれへんやんけ。花音に謝りいや」
どうやら腰を痛めた女は花音というらしい。左側の女に指をさされ、利明は下を向いたまま固まってしまった。
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