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子どもの頃の憧れのロボットについて皆で激論を繰り広げていたが、皆の眼はただ一点に向けられていた。
「じゃあ、次は少し速く歩かせて、問題なければ走らせてみます」
スムーズに歩くロボットを見て驚いたあの頃の俺は、今スムーズに走るその姿を見て声にならない感動をしていた。はっきり言って、走る事に関して言えば、人よりも完璧だった。出力を抑えてるとは言え、誰も追い付く事が出来ない程足が速かった。
「こんなに速く走れるんだ」
「パーツ自体は元軍事用ロボットだからな」
「いやいや、コレでも出力を落として有るんだよ。お披露目前に試運転したんだけどな、こんなの比にならない程の速度で走ってたよ」
ロボットの走行速度に驚いていると、至って冷静に機械部門の湯川さんが答えた。
「はっ!? これよりも速いんですか?」
「ああ、速い速い。階段もスムーズに上り下りするし、武器の換装は半端無かったね」
「それじゃあテストする必要無くないですか?」
「それがそうでも無いんだな笹原」
「どういう事ですか?」
「プログラムを大幅に変更した事により、動きが変化してるんだよ。強いて言えば、別人に変わったとこだ。その為特に心配なのは階段はもちろんの事、平坦で無い所謂凹凸の有る場所にどう対処するのか?そこを調整しないとならない」
「そっか〜〜人格の記憶領域は生前のものをインストールするとしても、基本の動きが制御出来ない事には、その人の持つ人格の動きの応用は出来ませんものね」
「うん、まあそんな所だ。あっ、でも笹原その言い方は気をつけろよ。生前はマズイぞ」
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