28. launch.py

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 明日遂にプロジェクトの第一号機のローンチが行われる。因みにローンチとは英語で書くとLaunchで、意味は公開とか公表って意味だ。  あれから何度もテストを繰り返し、階段はもちろん極端な段差のある場所を難なく歩く事が出来るようになり、手の細かな動きに関してはもう人間を超えていた。裁縫はもちろん、豆腐を形を崩さず指で持てる程に、緻密でデリケートな作業も難無くこなせるようになったのだ。  ちょうど今回のお披露目の一週間前に、その最終テストが行われ、見事全部の項目をクリアした。そして、今日は明日のための打ち合わせ会議をしている。  ところで、いつにもまして利根川主任は気合い入り捲りのご様子だ。 「もう知っているとは思うが、明日よいよ我らの研究の成果が世にお披露目となる。 残念ながら国の要望が優先となり、介護用のロボットしての発表が先行となった。 本当はこのプロジェクトの発案者である白川君側の希望を私は正直叶えてやりたかったのだが。 まだ知らない奴も居るだろう。もうこれだけの素晴らしい研究に、誰も文句を言う者はいないと思うので、彼が何故このプロジェクトを発案したのか? その本来の動機について皆にも共有しておこうと思う」  すると、会議室内が一瞬ザワついた。  まあ、この中で一番心がザワザワしていたのは俺自身だが。
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