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「えっ、湯川さん今なんて?」
「申し訳ない。妹さんなんだけど、間違って違う依頼主の家に発送されたらしい」
「はっ? まだ発送だけで到着はしていないんですよね?」
「ああ、到着はしていない」
「じゃあ、郵送業者に連絡すれば解決するじゃないですか」
なんだ、まだ発送されたばかりだから妹は配達完了にはなっていない。郵送業者の人に連絡がつけば、配達先を修正して貰えば済む話だ。俺は大した問題じゃないと高を括っていた。
しかし次の言葉で、それが簡単じゃないことが分かった。
「それがだな、さっきから全然担当に繋がらないんだ」
「そうですか、でもまだ配達完了になっていないのなら、直接行けば今からでも間に合うんじゃないですか?」
「それが……その、今からヘリを飛ばしてギリギリ間に合うか間に合わないかって時間でその依頼主には到着する予定なんだ」
「そっ、そうですか。でも、まあもし誤発送だとしても、あとで引き取りに行けばいいんじゃないですか?」
「いや……それが……」
俺は彼から依頼主の素性を聞いて顔が一気に青褪めた。IOPは家庭用ロボットでもある、介護用はもちろん、パートナーが欲しい人も注文できるくらいに用途が広がっていた。
そして今回IOPを注文した依頼主なのだが、噂では生粋の変態なのだとか。お金に物を言わせ、様々なダッチワイフに手をだし、動かない人形に飽きた彼は、ついにこのIOPに手を出したとのことだ。
何処で食い違ったのか、彼に発送される製品が俺の元へ発送され、俺の妹が彼の家へと発送されてしまったらしい。
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