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「湯川さん、すぐにヘリを出して貰えますよね?」
「ああ、もういつでも飛べるそうだ」
「じゃあ、荷物整理はまた明日でお願いします」
「ああ、分かった。主任にもそう伝えておく」
俺は研究所の階段を駆け足で上り、屋上に止まっているヘリへと乗り込む。目隠しとマスクを促されたが、そんな時間はない。
「そんなことしてる暇はない、妹が妹が危ないんだ」
俺は興奮していた。
妹の貞操の危機だったからだ。
普通じゃない俺のこと察してくれたのかヘリは速やかに飛び立った。島から離れると、俺は少し冷静さが戻り、言われた通りに目隠しをつけた。
江ロ伊蔵、この男が注文したIOPのデザインを見た。顔はロリ顔だが、正直現実にいない少女の顔、リアルさにかける。一方妹は現実にいた女の子で、なにより可愛い。
もし、回収する前に先に彼の手元に妹が届られてしまったら、下手すれば返してもらえなくなるかもしれない。最悪まだIOPに関する人権は保障されていない。IOPには生前生きていた人の記憶を内蔵するアンドロイドもいるため、現在人権に関して保証を内閣府側で官僚とやり取りをしている最中だ。
法律がない以上、勝手に回収することが出来ない。
何とかして、彼の家に届けられる前に妹を回収しないと。
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