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事態が事態なので通常よりも速く飛んでもらったお陰で、通常よりも30分ほど早く本土へ到着した。しかし、ヘリの着陸地点に関しては色々制約が厳しいらしく、江ロ伊蔵の住んで居る娃媚拿から一番近い、米軍の基地のある阿津魏から出発となった。
湯川さんからの定期連絡で、まだ妹は彼の家へ配達完了とはなっていないとの知らせを受けた。
米軍基地から彼の家までの距離は7.5km、おそよ時間にして30分の距離といったところだ。スマートグラス内のナビアプリを起動し、出発地を再設定、ヘリの中で江ロ伊蔵の住所は既に登録済みなので、開始ボタンを瞳で選択し、瞬きを大袈裟に二回すればパソコンのダブルクリックと同じ反応をし、ナビタイムスタートだ。
因みに通常なら、ヘリに乗っている間は目隠しのままなのだが、事情が事情だけに島から離陸して暫くしたら、特別に目隠しを外すことを許された。ヘリのスピードもそうだが、大分島から離れたため、どの場所に例の島が有るのか捕捉される心配はないとのことで、解放してくれたらしい。
「Good Luck, mate!?」
そういうと、一人の米軍が俺にバイクの鍵を投げた。俺は急いで、バイクに跨ると右へキーを回す。次にセルボタンを押し、キュルキュルとエンジン音が鳴り、エンジンをかける。ハンドルの右側にあるスロットルと、左足側にあるシフトペダルを1速にし、クラッチレバーを緩め半クラッチにしたあと、徐々にスピードを上げる。
2速から3速、4速から5速と徐々にスピードを上げていく。
それと並行して俺の心臓も加速していく。
俺は妹を迎えに行くため国道40号線へ乗ると、ひたすらスピードを上げていった。
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