30. Trouble

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「なっ、ななっ、ななんなんだちみは、ひっ、人の門の前で、あっああ、危ないじゃないか!?」  俺は勢いよくバイクから降りると、一気に彼の近くへと詰め寄った。 「お願いします、俺の俺の妹を返してください!?」  ゴンッ!!!?  そして、そのまま門の手前のアスファルトに額を打ち付ける格好で、俺は彼に想いをぶつけた。 「ひぃいいいいいいい」 「かっ、かか、返すも何も、たっ、たったいま返品したばかりだっ、なっ、ななっなんなんだ、その恰好、あんたこのアンドロイドの開発者かなんかだろう? いっ、いい、妹って、開発してるロボット全て自分の妹って感覚なのか、あっ、ああ、頭おかしいんじゃねーーの?」 (返品したばかりだって!?) (じゃあ、トラックの中に冬美が居るってことなのか?)  俺はザッと立ち上がると、今度は彼に一礼したあと、急いで運転手にトラックのコンテナのドアを開けて貰うと、中の荷物を確かめた。 「冬美、冬美」  電源がOFFになっているので声を掛けても返事が無いのは分かっていたのだが、叫ばずにはいられなかった。  !? 「…………」 「冬美じゃない……なんだこの顔は?」  そこに有ったのは冬美の顔じゃなかった、それよりも依頼主の彼が即返品したのも頷ける。粗悪品と言うのは変かもしれないが、顔が何かのアニメの女の子の顔が乗っけられていた。 「いっ、いくら人形好きの僕ちんでも、こっ、これは酷過ぎだよね。だっ、だだ誰が家に2Dの女の子を飾りたがるよ。ダッ、ダッチワイフだって、リアルな女の子にちっ近いから飾ってるのに」  噂とは全く尾ひれがついて、真実とはかけ離れているらしい。彼は単なる大きなリアル人形のコレクターで、リアルダッチワイフも本来の使用を一切しておらず、家の各部屋に色んなポーズをつけて飾っているだけらしかった。というか、あの後普通に拝見させてくれたが、ちょっと変わった美術館の様に綺麗に展示されていた。  また話してみると、意外と普通のジェントルマンだった。後日謝罪と共にお詫びとして、社内割引の値段で納入させて貰い、問題も無事解決するこ運びとなった。  to be continue ……the younger sister plus   >>>
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