8人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐにそのアニメは観なかった。
小学校とは違って、柚葉が通っている高校では「宿題」がない。
だけど、夏休みで一個だけ提出しなければならないものがある。
それは、レポートだ。
何のレポートでもよい。
数学でも、化学でも物理でも歴史でも現代文でも、なんでもいい。
自分の興味のあるものを題材にしてレポートを書くのだ。
柚葉は「女の子」をテーマにした。
女の子。
「如何にして女の子は『女の子』になるのか」という内容だ。
染色体や脳の構造のことから、ジェンダーの話や歴史や動物の生態に至るまでの壮大なレポートを書いて、賞をもらった。
その、レポートを書いているときに仮想現実のことに触れて、SAOを思い出したのだ。
あの日、衝動的に「走り」、TSUTAYAに行き、DVDを借りて観た。
変な、感覚だった。
広島に行ったときの感覚と似ていた。
SAOを観て、
ハマった。
泣いた。
そこから、柚葉はアニメ好きになったのだ。
―――
お風呂が湧いた。
部屋で服を脱ぎ、全裸になる。
形のよい乳房と、控えめの陰毛。長い髪。
身長150センチ弱。
ウエストは細めで、ちょっとお尻が丸みを帯びている。
太ももは標準的で、ふくらはぎも、健康的。
柚葉は、シャンプーブラシとスマホを持って浴室に向かった。
柚葉が暮らすアパートには脱衣所がない。1K。
バラにしようと決めた。
入浴剤。
乳白色のピンクの入浴剤で、バラの匂いがする。
「今日は、ちゃんとする」そう決めている。
最初のコメントを投稿しよう!