柚葉のおはなし

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 熱く柔らかな性器にある、敏感な突起。  柚葉はクリトリスを刺激するのが好きだ。 「舐めて、ほしい」  ちょっと、昔のことを思い出した。  夏の日の、汗に混じった匂いと感覚を。  きもちい、きもちいい。気持ちいいよ。お兄ちゃん。  柚葉は目をつむったまま体の感覚に集中していた。  あ、あ、あん、あん。  オナニーをする。 「今日は、ちゃんとする」  ちゃんと、オナニーをする。  両方の肩がぴくぴく動いた。  いじっているクリトリスが、熱い。  ときどき、シャワーを股間に当てた。  指を動かすと、ぴちゃぴちゃ音がする。  その、ぴちゃぴちゃ音が、えっちい。  きっと、みんな喜んでくれるだろう。そう思った。  ちゃんと、録音できているか不安になって、  一度スマホの画面を覗いた。  大丈夫、ちゃんと録音出来ている。  あ、うん。  もういちど、指を穴の中に入れる。  中指。  そして、薬指も。  ぐ、ぐ、と圧を掛ける。  きもちい、気持ちいい。  気持ち、いい。  あ、あん。  昔見たマンガを思い出した。  そのマンガの主人公は兄のことが好きで、  オナニーをしていた。  その、オナニーのシーンが柚葉は好きだ。  とっても、気持ちよさそうで、  そして、切ない。  主人公の女の子はオナニーで潮吹きをしていた。  ぷしゃーと、性器から液体が噴出していた。  はじめは、「おしっこ漏らしちゃうの」とびっくりしていたけれど、  そうじゃないことを知り、自分でもできるかなと思っていた。  何度も試し、できるようになったのは高校生になってからだ。  その感覚を言葉にするのは難しい。  ビクビク。  そう、言えばいいのだろうか。  わからない。  出ると、何かが腰の下から抜けたような感覚になる。  あるいはジェットコースターで落ちたときのような。
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