28話 誰?

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 分厚い雨雲が青空を覆い尽くし、雨足が段々と強まって行く。ゴロゴロと唸りながら雷雲も立ち込めてきた。雷が苦手なレイン王女は、ウサギに変化し、サジノスケのマフラーの中で身を強張らせる。 レイン「何だか凄い勢いで雷雲が近づいてきています。おかしいですね」 サジノスケ「まさか、またあの雷使いのヤンキー女か?」 美里(みり)「だとしたら、レイン王女がウサギに変身できることを知っているから、急がないと」  前日、リング達と戦闘したライによる不自然な雨雲なのかわからない。一行は、ライの高い攻撃力のある雷攻撃に苦戦を強いられた。なるべくなら、彼女との再戦は避けたい。 ピカッ  突然、空に白い閃光が走る。雨空を見上げると稲妻が雷雲の中を走行し、一筋の光となって地上に落ちて来る。 ドーン  落雷はリング達とは離れた場所に落ちた。レイン王女は恐怖で震えている。雨がリング達を容赦なく濡らす。五人はレインコートに身を包む。 (今のは自然の雷かな? ライさんの雷攻撃はもっと強かったし……)  などとリングが考えていると、サジノスケが大きな声を出す。 サジノスケ「皆、止まれ!」  この中で一番聴覚と嗅覚が優れている彼が止まれと言う時は、(ライバル)の出現した時だ。全員、近くの木陰へと身を隠す。 リング「もしかして(ライバル)を見つけた?」 サジノスケ「北西だ」  サジノスケが北西だと言ったのに、他の四人は北東を見る。レイン王女はなぜ別の方向を見るのか訳が分からない。 レイン「皆さん、何故北東を見るのですか?」 ウラ「あぁ、サジノスケはアホだから、よく東と西を間違えるんですよ」 サジノスケ「何だとっ?! 俺は北西から何か聞こえるって言ったんだぞ……?」 リング「じゃあ、聞こえる方向を指さしてよ」  サジノスケは恥ずかしそうに、リング達が見ている方向を指さす。 ウラ「ほら、間違ってるじゃない」 シイ「おい、どんな音が聞こえるんだ?」 サジノスケ「……何か太鼓みたいな感じの」  ウラとリングにからかわれて腹が立つのを抑えて、サジノスケはシイの質問に答える。太鼓と聞いて、一瞬ウラの表情が曇る。
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