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例え贅肉になったとしてもミユキの料理で贅肉がつくならば後悔はない。
「でも大丈夫? 年越しでもないのに、こんな贅沢しちゃって?」
料理をテキパキと並べながらミユキは首を振る。
「貴様が残業残業でアホみたいに稼いでくるから家計に余裕はある。貴様が稼いだ金だ。それで貴様の腹を満たすだけだ」
ミユキが少しだけ寂しそうな顔をしたのを俺は見逃さない。
「そうかぁ。寂しい思いをさせてごめんね。ただ、俺はミユキが家で待ってていてくれると思うの。頑張れちゃうの。でも来年は少し早く帰ってくるから」
「いい。貴様は頑張れることがあれば、それをやれ。それを支えるのが私の役目だ。貴様はどこに行っても間違いなくここに帰ってくるならそれでいい」
「ミユキーー」
つい抱きしめちゃう。
またミユキのアッパーが飛んでくる。
「貴様は春先の猫か!?」
もちろんダメージはなく、ただひたすらに癒やされるだけだ。
「ふふ。今年一年奥さん家業お疲れ様」
「貴様……。ミツグもお疲れ様だ。さぁ今夜は飲むぞ! 私は見た目が幼すぎて外で飲めないからとことん付き合え!」
「もちろんもちろん」
そう言ってミユキをお姫様抱っこをする。
「違う! 飲むんだ! そうじゃない!」
「そのつもりだけど? 何だと思ったの?」
お姫様抱っこされたミユキの蹴りが俺の頭に飛んできた。
アッパーよりはちょっと痛かった。でも赤子並みだ。
今夜は二人で飲み明かす。大切で可愛くて口の悪い非力奥さんと一緒に。
おしまい
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