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そして、シーンは冒頭のページのラストへ戻る。
眩いばかりの光が収まったそこには、燃えるような紅い髪を持つ甲冑姿の騎士のような男の子が立っていた。
騎士のようなって……、本物の騎士なんて見たことないからしょーがないじゃん。
それと、男の子って表現したのはパッと見、アタシとそう変わらない年齢に見えたからで。
少しの間、アタシとその騎士のような男の子は見つめあった。
短かったような、長かったような、計ってないから分かんないけど………。
そうやって見つめあったあと、男の子は訳のわかんない言葉で喋り始めたのだった。
「⌘★& ○☆*?」
「エッ!?
何言ってるのか分かんない?」
「♪∮% ≡*?」
なおも、言葉を続ける男の子。
「てゅぅか、机の上から降りて!」
そう、式神を呼ぶためにアタシは机の上で黒揚羽蝶々の紙で神言を唱えたのだった。
当然、黒揚羽蝶々の成れの果てはそのまま机の上である。
言葉は分からないし、イケメンだし、どうやらこの人を召喚して具現化したのはアタシみたいだし。
なんとかしなきゃと思い、こんな時は頼りになるあの人を呼ぶしかないと、アタシは下の階に大声で叫んだ。
「ママァーーー!!」
と、少しの間が空きやがて下から声がした。
「なーーにーー?」
「なーにーじゃなーーい。
ちょっと来てーーママ〜!!」
ドタドタと階段を上がる音と共にアタシのママ、明子が部屋に入って来た。
「どーしたのー?大きな声出して……あらっ?……イケメン………ポッ///」
「ポッじゃないわよ!
知らない男の子が部屋にいるのにポッで何よ、ポッて!!」
「あら、だってこの子あなたが呼んだ式神でしょ?
初めてにしては上出来じゃない。
さすがはママの子ね」
「へっ?!
式神ってわかるの?」
「当たり前じゃない。
あなたの魔力の匂いがするもの。
でも、この子なんか普通と違うみたいね」
「そうなのよ。
さっきから喋ってたけど、言葉が違っててなんて言ってるのかわかんなくて…」
「あら、そんなの念話を使えば簡単じゃない」
「……念話?
なにそれ、念話なんて知らないし、使い方もわかんないし…」
「そうね、そこは教えてなかったわね。
簡単よ、おでことおでこを接触させればいいのよ」
「ハァーっ!!
なにそれっ!!
聞いてないしっ!!
そんな恥ずかしいこと出来るわけないし!!」
「あらそう。それじゃ言葉もわからないまま、式神として遣えるの?」
「ウッ……、わかったわよ。
やるわよ、やればいいんでしょ」
男の子はアタシとママのやりとりを首を傾げて聞いていた。
しょうがなく、アタシは男の子を手招きする。
男の子はアタシの手招きに素直に従いアタシのそば来た。
アタシは意を決して男の子のおでこに自分のおでこを近づける。
が、身長の違いに今更ながら気付く。
慌てて、椅子によじ登り改めてアタシは男の子のおでこに自分のおでこをくっ付けたのであった。
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