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それっきり。
それから2日間、俺と藤嘉は顔を合わせてはいない。
それは勿論偶然ではなく、必然だ。
この2日間、俺は極力教室から出ずに過ごしていた。
トイレや移動教室の為に出た廊下からは、時々『藤くん!』なんて女子の声が聞こえたけれど、そちらに目を向けない様にして過ごした。
図書室にも、行かなかった。
活発に部活動に励んでいるわけではないし、図書室を2日ばかり開けなくても別に困る生徒なんかいない。
まぁ、つまり俺は、あの夜から藤嘉を避けている。
だって、藤嘉を前に俺はどんな顔をすればいい?
どんな顔で、どんな言葉で、藤嘉と対峙すればいい?
そう思うと、敢えて意識しなくても身体は藤嘉を避けていた。
特に藤嘉から何の連絡もない。
あの夜抱き締めたことに対しては勿論、一昨日から図書室に行っていないことに対しても何の連絡もない。
こんなもんか、と思う。
こんなもんだ、俺と藤嘉の関係は。
いくら共通点があったって、互いに会う気がなければそれっきり。
友達よりも、曖昧な関係。
そんなことを思いながら、部活動が始まり人影もまばらな廊下を歩く。
ふと、足を止めたのは学年掲示板の前だった。
そこには奏が言っていた通り、テストの順位が張り出されていた。
1位は『鈴木 藤嘉』
5位が『鈴木 椋杜』
プリントアウトされた無機質な文字で書かれたその名前を交互に見遣る。
藤嘉の綺麗な文字を思い返す。
学年1位って、本当に頭良いんだな。
まぁ、勉強してたしな。
図書室で並んで勉強をしていたのが、ずっと過去のことの様だ。
今日も図書室に寄らずに帰ろう、そう思って一歩踏み出そうとした時だった。
「あ」
前から、そんな声。
顔を上げた。
そこには、2日振りに見る藤嘉の姿があった。
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