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そこをライトで照らした時、俺は身を潜める立場であることも忘れて叫びそうになってしまった。
実際には、ほとんど叫んだようなものだったのだろうが。
「あった……!」
「えっ!?」
俺の声に驚いたカルアちゃんが、小走りにこちらへと駆け寄ってくるのが聞こえる。
人体模型の胃袋の辺りに、模型の一部ではないものが埋め込まれていたのだ。
見間違いかと思ったが、明らかに周りのパーツと質感が違う。それは間違いなく、俺たちが探し求めていた人形だった。
ようやく人形を見つけられたことへの喜びと、緊張。
その中で取り出した人形を照らして、俺たちは言葉を失った。
「これ……ねりちゃんの……」
見つけたのは、俺のでもカルアちゃんのでもない。ねりちゃんの人形だった。
これだけ探し回って、やっとの思いで見つけることができただけに、その落胆は想像していた以上に大きい。
俺の脚は、もうこれ以上動くことを拒んでいるのではないかと感じるほどに、絶望で重くなっていた。
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