25:脅威

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「いや、まだ……そうか、体育館……!」  校舎の中を探すという思考回路から、抜け出しきれていなかったのかもしれない。  最初のルール説明でも話をしていたというのに、俺はその場所を頭の中から完全に除外しきってしまっていた。  体育館は、一階の西トイレの隣にある渡り廊下から行くことができる。  渡り廊下に続く扉が閉まっていたので、通れない場所として、壁と同じように無意識に通過をしてしまっていたのだ。 「体育館なら、西側から回って行こうか。急がないと、本当に時間がない」  目的地が決まった俺たちは、すぐに図書室から移動を開始する。  廊下を覗いて人影が無いことを確認してから、早足に西階段を目指した。 「渡り廊下は階段のすぐ隣だから、見つからなければ一気に行けると思う」 「財王さんたち、どの辺りを探してるんでしょう?」 「わからない……この辺りにはいないといいんだけど。音もしないし、きっと俺たちとは別の……」  俺のスマホの着信音が鳴り響いたのは、まさにその時だった。
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