25:脅威

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 音で場所がバレてしまうと慌てて通話ボタンをスライドしたのだが、それはLIMEでのダミーちゃんからのビデオ通話の着信だった。 「え、ダミーちゃん……? どうして通話なんか……」  まさか、彼女から着信があるとは思わずに少々混乱する。  改心したので俺たちに協力するなどと言い出すとは考えにくいが、脱走したのがバレて居場所を探ろうとしている可能性はあるだろう。  すぐに通話を切ろうかとも思ったのだが、なぜだかかけてきたはずのダミーちゃんは、一向に喋る気配が無い。 「ダミーちゃん?」  終始テンションも態度も変化が無かった彼女だ。同じく不思議に思ったらしく、カルアちゃんも声をかける。  少し待ってみたものの、声もしなければ映像が動く気配もない。 「ここって、ひょっとして図工室か?」 「そうみたいですね。……ユージさん、どうします?」  映像が少し荒くてわかりづらいのだが、特徴的な作業用の大きな机は、恐らく図工室のものなのだろうということがわかる。  これは彼女のイタズラかもしれない。
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