monsters ~怪物~

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私は仰向けの状態で目が覚めた。 目に最初に入ったのは天井。学校のものではない。 体を起こし、部屋を眺める。 おそらく相当な豪邸だろう。私がいる部屋だけでも20畳以上はありそうだ。 おいてある調度品は木製のものが多く、重々しい雰囲気を醸し出している。 「・・・ん・・・」 その時、私は自分の首に何かがかかっていることに気づいた。紐を引っ張って服の中から何かを出す。 あの鍵だった。かなり豪華だがあまり重さは感じない。私はその鍵を服の中に戻した。 さてと、ここは私の知らない部屋だ。 他の皆はどこにいるのだろう。そもそもここはどこなのだろう。私は死んだのだろうか。もし死んだのだとしたらなぜだろう。 疑問はさておき、ベッドから降りた私はドアへと向かった。 「・・・・・・開いた・・・」 ドアには鍵などかかっておらず、軽い音を立てて開く。 私はそっと廊下に出て、耳を澄ました。 かすかに、何かを引きずる音が聞こえる。 誰かが叫んでいる声がする。 ガラスが割れる音がする。 「・・・・・・ふー・・・・・・」 一度深呼吸をしてから、声がした方向に向かって歩き出す。 ふかふかの絨毯は、私の足音を少しだけ消している。そして、他の誰かの足音も消してしまえるということでもある。 ゆっくり歩いて、角を曲がる。 十数メートル先に、狼のような獣がいた。 4本の足に、銀色に近い体毛。そして鋭い爪の中には―――肉と、血が詰まっていた。 「っ・・・・・・!」 思わず後ろに後退りする。かたん、と小さな音がなり、獣がゆっくり振り向いた。 「があぁ・・・・・・!」 その目は黄色で、新しく見つけた、“私”という獲物を、舐めるようにして見つめた。口は、人間の血で真っ赤だ。 狼もどきの背後には、おそらく先程まで喰われていたのだろう人が転がっていた。 私を睨んでいる狼の足が亡骸の頭に当たり―――紗耶の顔が見えた。 間違いなかった。小学校の頃から同じだった親友の顔を間違うはずがない。 今、狼の足元に転がっているのは、狼の体の中にいるのは、紗耶なのだ。 紗耶は、これに、喰われたのだ。 「紗耶・・・・・・っ!」 私の胸に、怒りという名の炎が咲いた。 狼もどきを睨み返す。 「ぐるるる・・・・・・」 手を握りしめ、深く、細く息を吐きだす。 精神、思考が研ぎ澄まされていき、感覚が鋭くなるに連れて、何かが出来上がっていく。 やがて、それは私の手の中で剣になった。 刀身の部分が光沢のある銀色で、柄の部分に青い石がついている。細くて長めの剣は、私の手にとてもよく馴染んだ。 「ゔぅ〜・・・・・・」 低い唸り声を上げた獣に対し、私は剣を構えた。 恐ろしいスピードで私の前に来た獣に向かって剣を振るう。 「ぎゃんっ!」
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