王家に転生したので最悪の人生やり直して魔術で世界平和に導きますw

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「何をしておるのじゃザッカリーよ」  ライオンの姿をした獣族はザッカリーに怒りを向けた。だがこちらに向けての殺気は感じない。よく見ると隣のサウザー達は戦闘態勢を解いていた。 「これはドディ殿。この少年、ロゼのせいで我々ブースター軍団の立場が無くなって来ています。私がブースター軍団を代表してロゼを成敗し、我々の信用を取り戻すのですよ」  ドディと言われたライオンの獣族はザッカリーの言葉を聞いている内に怒りで体が震えて来た。 「バカモーン‼︎ ロゼ様は亡き先代国王の孫で由緒正しい白魔術の継承者じゃ。我がブースター軍団にとって命の恩人なのじゃよ」  ドディは息を思いっきり吸って大声でそう話した。ライオンの獣族の特徴なのだろうか。百獣の王としての威圧をひしひしと感じた。 「はっ。総大将…そうだったのですね。てっきり我々の敵なのかと思ってました。」  ザッカリーは片膝を付いて深々と頭を下げた。 「全く、お前はいつも最後まで話を聞かずに飛び出していくからな。それも周りを巻き込んでしまう。悪い癖じゃよ」 「はっ、申し訳ありません」 「もう良い。ところでロゼ様御一行や。サーロンから追われているのは本当なのですね」 「ええ、そうです」  サウザーが皆を代表して言った。 「魔軍局のサウザーだな。まさか追われているのではあるまいな?」 「追われているのは、在らぬ殺害の罪を着せられたロゼ様だけです。他の者はロゼ様の身の潔白を証明する為に集まっているに過ぎない」 「なんと、そうでしたか。あのサーロンのクソ野郎のことだ。ロゼを失却させるつもりでいるのだろう。あいつが思いつきそうな手口だ。ここは一つ。我々の拠点に来て立て直さないか?」 「我々はこれからクリスタル城に行くつもりなのだが?」 「チッチッチ、ナンセンスだよ君たち。サーロンはそんなに甘くない。お前らは今城に戻った所で殺される。だがワシの元に来ればブースター軍団が全軍を上げてロゼ様をお守りし、時が来ればサーロン一味とも戦う覚悟がある。どうだ?」  悩んでいるサウザー達に代わって俺が答えた。 「悪くない考えだ。ドディ、案内してくれ」  その答え方に先代国王の影を重ねるドディ。 「いいだろう、ロゼよ。ついてこい」  俺達はクリスタル王国城下町から抜けて東へと進んだ。途中に一般人なら通れそうに無い険しい山道があったが、魔術を使って切り抜けた。それにしても獣族には感心させられる。山道も動物の力でぴょんぴょん潜り抜けているのだ。  葉の影で薄暗くなっている森の中を進み続けた。やがて森の奥に開けた場所があった。現世でいう所のキャンプ地の様な場所に木で作られた家がまばらに存在していた。そこにはドディ達と同じく獣族が生活している。 「どうだ、ロゼ。我々ブースター軍団は普段ここで生活しているのだよ」 「いいところだ、空気が美味しい」  俺は思いっきり空気を吸った。そういえば、自然と触れたのは何年前だったかな。前世ではずっと都会の団地で過ごしていたからな。お金もなかったし休日も家に引きこもっていた。今はクリスタル城にから追放された身とはいえ、こっちの世界のこういう場所も悪く無いな。 「それにしてもよ、俺はあんたら獣族の身体能力には驚いたぜ。あんな風に崖やらをぴょんぴょん走って行けるなんてよ」  コランが闘争心に火がついている様だった。 「俺達は獣族は特別なんだぜ。数百年の寿命と特殊な身体能力。お前ら人間とは何もかも違う」  犬の獣族であるポンチはそう言って拳を曲げて見せた。 「ふん、それはやって見ないとわからないだろう?」 「ほう、お前名前は?」 「魔軍局副局長のコランだ。お前は?」 「俺はポンチだ。コランよ、あの土俵を見ろ。獣族がいつも修行の為に使っている場所だ。俺とやり合いたいなら1時間後あそこの上に来い。勝負してやる」 「望むことだ」 「威勢がいいことは良いことだ。ポンチ、荷を下ろしたら相手をしてやれ」  ドディは嬉しそうに言った。 「やるのはいいがコランもそう熱くなるなよ」 サウザーはコランにそう嗜めた。 「何、ちょっと試したいだけですよ」  俺はサウザー、リック、リスターの三人と共に土俵のそばに立っていた。そこにポンチがやってきた。向かい側には既にはコランが既に立っている。 「クリスタル王国の魔軍局が獣族の道場破りだ。このポンチ様がそんなことは許さん。獣族代表としてこいつを返り討ちにする」  ポンチはそう言ってコランを指差した。  ウォォォー  周りでは土俵を囲む様に色々な動物の姿をした獣族が囲んでいた。 「おい、ポンチとやら。俺は一切魔術は使わない。己の身体能力だけで勝負しようぜ」 「いいぜ。どうせ俺が勝つから」  そう言ってポンチは4足歩行になった。 「俺が犬っコロに負ける訳ねぇだろ」  コランはポンチに向かって真っ直ぐ向かって行った。ポンチも正面から受け止める。力比べになった。
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