秘密の時間

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「何となくわかります。でも、その特色はどうやって見極めればいいのでしょうか?」 「その説明は、なかなか難しいんですけど…。何となくとか、直感で判断します」 「え!それで百発百中って、すごいですね」 「すごいですよね。笑」 「もしかして、青木先生ってオーラとかが見える人なんですか?」 「オーラかどうかはわからないのですが、その人の色は見えますね」 え…? 冗談のつもりで言った質問に、予想を反する答えが返ってきた。 「じゃあ、僕の色もわかりますか?」 「わかりますよ。ちょっと待ってくださいね」 彼女はしばらくの間、僕のことを見つめていた。 その瞳はとても綺麗で、吸い込まれてしまうような感覚に陥った。 「オパールですね。様々な色彩が、井上先生の中にはありますよ」 聞き慣れない色の名前で、正直ピンと来なかったが… 「ありがとうございます」と、彼女にお礼を告げた。 それからたわいもない話をしばらくして、自分の教室へと戻った。 不思議な人だなと思っていたが、今日の一件でより深く彼女のことを知りたいと思った。 同僚という枠を飛び越え、積極的にアプローチをしていくことを心に決めた。
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