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子どもたちを見送り、教室で明日の授業の準備をしていると
「井上先生」と、ドア越しに呼ばれる声がした。
ドアを開けてみると、休暇に入られる先生が立っていた。
どうやら引き継ぎのために、学校へ来ていたらしい。
明日から休みに入られるということで、挨拶に回っているそうだ。
話の延長線上で、彼女について聞いてみた。
「代理で来た先生、どんな感じでした?」
「青木先生?あの子、すごいね」
ん。すごい…?
予想外の答えに、驚いた。
「どうすごいんですか?」
「実はね、若いからと思って軽視していた部分があるんだけど…。知識的なものはもちろん、子どもの発達段階を見極める目も持っていたの」
「それは、すごいですね」
「でしょう?引き継ぎいらなかったと思うくらい。笑」
「青木先生は、そういう勉強を専門でされていたんでしょうか?」
「どうだろう?詳しいことは特に聞いていないけど…。でも、これで安心して休暇が取れるよ」
「それは、安心ですね。お大事にしてください」
「ありがとう」
難しいとされている特別支援学級に一日で適応できたということに、驚きを隠せずにいた。
正直な話、5年間同じ小学校の教員をしている僕でも、特別支援学級の子どもの特性はわからなかったりする。
彼女は何者なんだろう?
どういう経歴で、どういう経緯でここに来たんだろう?
時間がある時に聞いてみようと心に決め、教室を後にした。
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