カバンを間違えたらすべてが終わった件。

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今日は俺にとって人生で一番大事な日だ。 そう、ついにミカにプロポーズをする。 出会ってまだ日も浅い俺たちは実は付き合ってもいない。すなわち交際期間は0日。だが俺にとってそんなことはもはや関係ない。 彼女との絆は交際期間で測れないほど運命を感じているからだ。 交際期間なんぞに頼ることなくこの手で彼女の心を掴んでみせる。 俺はミカが待っているタワービルへ向かった。 不運なことに今日の天気予報によると大型台風が接近しており凄まじいほどの暴風雨だ。 しかしそんな台風すらこの俺の熱気と勢いの前では足元にも及ばない。 こんなことがあろうと俺はミカへの婚約指輪と赤い薔薇をアタッシュケースに入れてきた。 エレベーターに乗り60階へと向かう。 高級レストランに入り奥のテーブルにはミカが先に座っていた。 「おそーい!」 「ごめんごめん、台風だったから電車が遅れてて」 「それで、話って何?こんな値段も階層も高いところで」 「いや、実はね…この中に君へのプレゼントがあるんだ」 「ケースの中?いったい何なの?」 アタッシュケースを開き、指輪を取り出そうとした。 しかしケースを開いた瞬間、俺の思考回路は停止した。
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