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幸せの内訳は、必ずしも努力した証ではない。
誰にだって幸せになるチャンスは訪れる。
チャンスを掴んだあと、どうやって幸せを維持し続けるかだ。
幸せを掴む前も、あとも、人はずっと努力し続けなければならない。
(これからは、マティアスさんの愛情を素直に受け入れよう。ひねくれた自分から卒業して、愛される女性になりたい。彼といつか生まれる子供たちが、誇りに思ってくれる人になろう)
麻衣は食いしばっていた口を開き、「は……っ」と息を吐く。
そして恐る恐る目を開け、目元を覆っていた腕をどけた。
すると胸元を愛撫していたマティアスと目が合い、彼が微笑み掛けてきた。
それに対し、麻衣はぎこちなく笑い返した。
――まず、一歩。
麻衣は震える手でマティアスの髪を撫で、彼の首や肩にも触れた。
温かくなめらかな肌を感じ、素直に「気持ちいい」と感じる。
「……気持ちいい、……よ……」
そう伝えると、マティアスは優しく笑った。
「そうか」
彼は感情豊かではないし、痒いところに手が届くような、気が利く人ではない。
自分も、完璧な女性ではない。
欠点を持つ二人が寄り添い、若葉マークのカップルが誕生した。
――それでいいや。
麻衣はポロッと涙を零して微笑み、ゆっくり体の力を抜いた。
涙を見て瞠目したマティアスに、彼女は「違うの」と小さく首を横に振る。
「幸せになる覚悟を決めた。それだけ」
「……そうか」
マティアスは深くは聞かず、微笑んで頷いた。
(きっと信じてくれているんだろうな)
そう思うと、心の奥にりん、と丸く小さな光が宿った気がした。
それはとても小さくて、不安定に揺れている。
けれどマティアスと一緒に過ごし、時間が経つにつれて、大きくしっかりとした光になると信じている。
「……好きだよ」
彼の肩をキュッと掴んで告白すると、マティアスは破顔して「俺もだ」と言ってくれた。
マティアスは今までより力の抜けた麻衣の脚を開かせ、その間に腰を入れる。
そして何度も麻衣の胸を吸っては舐めて……と繰り返した。
「はぁ……っ、あ、……ん、あぁ……、ぁ……」
麻衣は必死に呼吸を整え、マティアスの肩や髪を撫でる。
素肌を撫でるマティアスの手を、とても熱く感じた。
恥ずかしくて、けれど嬉しくて、でもやっぱり恥ずかしくて、胸が一杯になって切ない。
「少し、触るぞ」
断ってから、マティアスは内腿から恥丘へと手を滑らせる。
「んっ……! ぅ、……う……」
彼はふっくらとした恥丘とアンダーヘアを、愛しむように撫でた。
「あの……。ご、ごめん……」
「何がだ?」
マティアスは目を瞬かせる。
「……海外の人ってアンダーヘア、処理するんでしょ? マティアスさんもなかったし……。不潔だったらごめん」
恥毛に触れられ、急にその事を思いだした。
バスルームでは「マティアスさんって毛がないんだな」と思っただけだったが、今自分の恥毛に触れられて、顔から火が出そうなほど赤面している。
「そんな事気にするな。俺たちの間には〝違い〟が沢山ある。これから俺は、色んな感覚を日本式にシフトしていくつもりだ。だが、中には捨てきれないドイツ的な考えもあると思う。その時は、麻衣に我慢してほしいと頼むかもしれない。これから俺たちが向き合っていかないとならないのは、考え方のほうだ。体毛など問題にならない」
「そうだね。確かに、大した事じゃないかも……」
言いながら、麻衣は「香澄にいい脱毛サロンを教えてもらおう」と思っていた。
やがてマティアスの指が肉芽に触れ、麻衣は一瞬息を止める。
「リラックスしてくれ。痛くしない。ゆっくり愛していくから」
「ん……うん」
マティアスは濡れた花弁をヌチヌチと擦ってくる。
麻衣は深呼吸を繰り返し、懸命に気持ちを落ち着かせようとした。
気を紛らわせたいのに、彼の指が動くたびに意識が奪われ、別の事を考える余裕がない。
ぬめった場所を往復する指の動きがいやらしく、小さく立つ水音もまたいやらしい。
やがてマティアスの指が、蜜口の中につぷりと侵入してきた。
「ぁっ……、ン、……ん……」
彼の指はゆっくり蜜壷に入り、優しく出入りし始める。
そのうちクチョクチョと小さな水音が立ち、その音を聞いて麻衣はカーッと赤面した。
(恥ずかしい……っ)
バスルームでは水中だったため、音は立たなかった。
けれど今はいやらしい音が、嫌でも耳に入ってくる。
「痛くないか?」
マティアスが気遣い、麻衣は必死に返事をする。
「……っうん……っ」
彼の指が膣内を蠢くたびに、何とも言えない感覚が全身を駆け巡る。
無意識に腰が揺れ、お腹の奥がヒクヒクする。
「ぁ……っ、あ、……ん、んー……」
唇からは艶っぽい声が漏れ、自分をコントロールできなくて泣きそうになった。
チュクチュクと水音が続き、ときおりグプッと泡だったような淫音が立つ。
「は……っ、恥ずかしい……っ、あ……あ……っ」
「こっちに触れたほうが楽だろうか?」
そう言ってマティアスは蜜を親指にまぶし、クリュッと肉芽を転がしてきた。
「っひあぁああぁっっ!!」
分かりやすい悦楽を得て麻衣は声を上げ、思いきりマティアスの指を締め付ける。
「待って! そこ……っ、だめっ」
弱点を弄られ、麻衣は涙目になってマティアスの手首を掴む。
「痛いか?」
「いっ、痛くないっ。……きっ、気持ちいいから……っ」
「なら続ける。さっきも達けただろう? 頑張ってくれ」
「そんなぁ……。あっ、あぁあっ」
弱音を吐けば、言う事を聞いてくれると思ったのに叶わず、麻衣は情けない声を上げる。
「マイ? 素直に気持ち良くなってくれ」
聞き分けのない子に言い聞かせるように言われ、麻衣はグスッと鼻を鳴らして観念した。
「っへ……変になっても、笑わないでね……っ」
「マイが感じてくれているのに、笑うなどあり得ない」
マティアスは安心させるように麻衣にキスをして、彼女の胸に吸い付いた。
「ん……っ、んぁ、あ……っ」
秘部から聞こえる水音はグチュグチュと激しさを増し、胸元を見ると、マティアスが自分の乳房に吸い付き、舐めている。
与えられる悦楽も、視覚的な刺激もあまりに強すぎ、眩暈すら覚えた。
「あ……っ、はぁ、あ……っ、あぁ……っ」
「マイ。熱くて柔らかくて、気持ちいい……」
マティアスはうっとりとした顔で囁く。
彼の指が膣内でそよぎ、熟した淫玉を転がされる。
「我慢しなきゃ」と思う気持ちとは裏腹に、麻衣はあっという間に絶頂へのきざはしを上り詰めた。
「んっ……! あぁああぁ……っ! あーっ……ぁ……あぁ……」
麻衣は彼を抱き締め、蜜壷でも彼の指を思い切り締め付ける。
胸の谷間にマティアスの吐息が掛かり、彼の唇が当たった。
麻衣はその感触すら快楽に変え、彼の香りを深く吸い込みながら人生で一番の悦楽を貪った。
「……っはぁっ、……は、……ぁ、……はぁ……っ」
麻衣は大きな波にさらわれたあと、ぼんやりと天井を見る。
マティアスは彼女が脱力したのを知り、上体を起こして頬を撫でてきた。
「大丈夫か?」
「ん……。すご……かった……」
か細い声で答えるので精一杯だ。
麻衣はいまだ体を支配する絶頂の余韻に浸り、うっとりと目を閉じる。
そんな彼女を愛おしむように、、マティアスは頭を撫でてきた。
(このまま休みたい)
そう思っていたが、彼は麻衣の腰の下に枕を挟み、脚を広げてきた。
「え……?」
何をされるのかと目を開けると、彼は秘部に顔を近付けようとしていた。
「っ駄目っ!!」
強い声で拒絶したので、マティアスは驚いたように顔を上げる。
「っ……ご、ごめ……っ」
自分がオーバーな反応をしたと気付き、麻衣は赤面する。
けれどそんな事でマティアスは傷付かないし、怒らなかった。
「こちらこそすまない。抵抗があったか? 俺はマイが好きだから、すべて愛したいと思った」
相変わらずマティアスは、思った事を素直に口する。
それに比べて……と思い、先ほどの決意を思いだして自分も正直に打ち明ける事にした。
(きちんと向き合うんだ)
心の中で自分の頬をピシャンと叩き、勇気を出す。
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