吊り橋効果の検証

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「次の土曜日ドライブ行こうよ」  本当ならこの時期に車の免許を取るのは、学校で禁止されている。四月生まれのオレは、みんなより一足早くこっそり自動車学校へ行って、早々に免許を取った。二回落ちたけど。なんで学校に内緒で免許取ったのか。それは、オレの運転で友達と遊びに行くためだ。え、誰と……それは……。 「え〜、立石の運転で? 怖くない? 大丈夫なの?」  今現在、ドライブに誘い中の根岸琴美のことだ。 「あ〜分かった。免許を取ったから運転して遊びに行きたい。でも、免許のことを誰にも言わなさそうで、一緒に行ってくれる友達がいない。仕方なく私を誘っている。当たってる?」  当たっとらんわ! オレは純粋に根岸をドライブに誘ってるんだって!  ……と思ったことは、さすがに本人には内緒。 「お、おぅ。まぁな」 「やっぱりね」  遠慮なくケラケラと笑う。その笑い声にオレもつられて笑う。 「で、どこ行くん」 「オレ行きたいところあるんだよね。一ノ瀬山の吊り橋!」  しまった! と慌てて口を抑えても、後の祭り。慌てるオレを見て、根岸はじわじわと口元が緩んでいった。 「なんで吊り橋?」 「な、なんだっていいだろ。行ってみたかったんだよ」  根岸を直視できないオレ。
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