吊り橋効果の検証

4/13
前へ
/13ページ
次へ
 それが今日の隣は根岸だ。事故なんて言語道断。いつも以上に気を張って運転しないと。  オレ、落ち着け。落ち着いて運転すればなんてことない。だって、この免許証は運転を認められた証拠なんだから。 「本当に大丈夫? スピードの出し過ぎには気を付けてね。ちゃんと一時停止守ってね。踏切は必ず一台分進んでから渡ってね。それから……」   「あー! もう、分かったって! オレもう行くから!」  母親ってどうしてこう心配性なんだろうか。 「黄色は無理して進まずに停まってね。バックするときは友達に誘導してもらってね」  運転席の窓越しに、まだいろいろ言ってくる。「もう分かったって。早く家に入って」と、シッシッと雑に手を振って窓を閉めた。  大きく息を吐いて、まずアクセルを踏んだ。緊張していたのか、右折して出る時に後ろのタイヤが少し縁石に乗り上げて車がガクンとなった。  わぉ……出だしから内輪差か……。やばいやばい。  根岸んちまで、車で十五分。なんてことない。と思っていたが、左折時に自転車を巻き込みそうになったり、行けると思った黄信号で、結局急ブレーキかけたり、緊張感がハンパなかった。ハンドルも教わったとおり十時十分をちゃんと守っている。落ち着きさえすれば大丈夫だ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加